保育園を作ろうと思った原風景

僕には忘れられない光景があります。

10年程前に仕事のタクシー移動中に高速道路の高架下で
生活する親子がいまして、父親が3歳くらいの子どもを「高い高い」してました。

その子どもの笑顔がとても可愛らしく、我が子となんら遜色ない満面の笑みでした。

おメメがクリクリで純粋で、人間として祝福を受けて生まれたであろうとあってほしいと切に願わざるを得ない笑顔でした。

胸が熱くなりました。

フィリピンでは戸籍制度がなく、ストリートで生まれた子らは日本人のキレイ事が通用する世界ではなく、将来に希望を持つこともできませんし、人間らしい…という言葉とはかけ離れた動物的な生活以外の選択肢がありません。

僕は現地に長かったのでよく知っています。

現在、カンボジアにて学校のないエリアで小学校を作ってます。

ここでは村長が自宅のとなりにバラックを建てて月50ドルで先生を雇って勉強をしてます。

フィリピンでも「いつか」と思っていますが、フィリピンの構造的に様々な阻害要因がありかなりのハードルです。

でもいつの日かほんの僅かであろうが、子どもたちがほんの少しの希望を持つことを許される環境つくりの一助になれたら。

これがキッカケで「子どもたち」に関心が生まれました。

40歳で初めて子どもを授かったこと

決して早くはないと思います。年を重ねてから子どもを授かったことで子育ての中で起こる様々な事がらをじっくりと受け止めることが出来るようになってきました。

その中で父親として罪悪感を感じるような不甲斐なさや「自分は果たして良い父親だろうか?」という疑問は常に目の前に横たわり続けています。

しかし、日々反省と小さな挑戦を続けて止むことはありません。

子どもは素晴らしい!!

将来そのもの。未来そのもの。

我々現役者が先人から受け取ったであろう「有形無形のバトン」を次世代にどのような形で遺すかことができるか?

その美しくて可愛らしくて純粋そのものの子どもたちにとってより良い環境とは?そこに正解はありませんが、地域の皆さまや親御さまたちにお知恵を拝借しながら保育園という形で地域に遺せたら。と考えております。

目指す保育の形

●1つは「ダメ!」を言わない保育。僕は父親でもありますので家庭では厳しめに子育てをしています。ダメ!も言います。しかし、保育園という中では否定されない世界をつくりたい。。

未就学児は大人が何かを決めつけるにはまだまだ早すぎます。もし他の子よりも何かが劣っているように感じることがあっても気にすることはありません。

子どものうちに見えている能力や気質は氷山の一角です。これからどんな素晴らしい能力が出てくるとも限りません!温かく見守ってほしいと皆さま同様に我々も考えております。結果、良質な「自己肯定感」が備わると考えております。

●2つめは「お勉強」です。
我々大人が考える「勉強」と「ゲーム」の違いは皆さんわかりますか?

どちらも未知のエリアに対して進入し、何かを学び得ながら何かをクリエイトしてゆく。

という点で全く同じです。

でもなぜ勉強はつまらなくて、ゲームは楽しいのでしょうか??皆さん考えたことある方もいらっしゃると思います。

理由は一つです。

つくり手が高所から「理解しなさい」と作るか、つくり手が「楽しんでもらう!」と思って作ったか?

にあると思います。未就学児たちの勉強は後者であるべきと考えています。

僕の子どもたちも保育園児ですが、ゲームでプログラミングの基礎や読み書きをグングン覚えています。それはもう驚くレベルで。

なので、我々は「やりたいっ!」と思える勉強、学びをつくりたい、使いたいと考えています。結果として未知のエリアの知識、経験が身につけば良いわけですから。小学校に上がれば「大人の勉強」の世界に踏み入れることになります。しかし、「勉強=楽しくてしょうがない」という原体験は大人になっても生きてくると思います。

子どもへの良い礎になれば良いのです。

福祉事業者としての側面

一般に「幼保格差」という言葉があります。悲しいことですが、現実問題として小学校に上がった時に「あの子は保育園だから」等の差別的なものの見方があるのも事実です。ですが、我々は保育コンテンツそのものも他の高額な児童施設に負けない、勝るようなコンテンツをつくりたいと思っております。それも楽しく!

一方で、福祉事業としての観点からは収入の格差に左右されずに受け入れ間口が広い児童福祉事業であるという側面も忘れてはいけないと思っております。なのではぐくみ園では通常であれば追加料金が必要になるコンテンツも追加料金はいただきません。

特に親御さんたちに評判良いのは「写真の無料ダウンロード」です。僕も父親の1人として、普段見れない姿の我が子が気になります。園ではどうしているのかな?と。なのではぐくみ園では園でのイベントや生活の様子を撮った写真の販売はせず、ダウンロードし放題にしております。我が子の写真くらい気兼ねなく保存して欲しいのです。だって、すぐに大きくなってしまいますから。なるべく沢山の瞬間を手元に保存したいと思う親心を利用したくないのです。

手ぶら保育では最低限の原価としての料金はお支払いいただきますが、通常上乗せされる利益ははぐくみ園では1円もいただいておりません。厳密には我々はコストが掛かっていますが、営業努力で吸収します。

我々は極力、親御さんたちの負担軽減と子どもたちのより良い礎を築くことに力を注ぎたいと考えております。

また、「地域参加型」でありたいと考えております。はぐくみ園に通っていない親御さんたちでも子育ての悩みを持つ親として参加できる「食」「健康」「保育」のそれぞれの専門家による講習やイベント、相談会を定期的に開催してゆきますし、園のイベントもアンケート等を通じて親御さんたちのご意見に耳を傾けながら作り上げております。

まとめ

子どもを否定しないことで、何かにチャレンジして失敗しても周りも「チャレンジした部分」を褒める環境が子どもの中でも先生の中でも生まれます。そんな環境にいたら子どもたちの素晴らしい好奇心はドンドン新しいことへのチャレンジと学びにつながるのではないでしょうか?

その気持ちを後押しするのが否定せずに褒めて伸ばす「自己肯定感」です。

我々は芽生え始めた「認知能力」を伸長するような制作活動や遊びという形の学びを取り入れながら最近話題になっている「非認知能力」…
・自己肯定感
・自制心
・自信
・自立心 
などの自己に関わる力と

・協調性
・共感力
・社交性
・道徳力
などの他人と関わる力、これら「非認知能力」と呼ばれる力を外部の専門職の方を招いてのプログラムも毎月行っております。

また、「言葉の力」は我々大人が知るようにとても大きく、乱暴な言葉を使っていると乱暴になりますし、優しい言葉を使っていれば優しくなります。そこで日本古来の「わらべうた」プログラムが生きてきます。

優しい日本語を使った体幹トレーニング的な側面もあるわらべうた。まさに古くからの知恵です。

我々は非力な小規模事業者ではありますが、1人1人の子ども、親御さんたちとより良い子どもの環境づくりに尽力したいと考えております。